▶ 2014年12月号 目次

これから何が変わるのか 〜アベノミクス解散〜

陸井 叡


 「政界、一寸先は闇」とは田中角榮元首相の秘蔵っ子だった当時の大物政党政治家 故金丸信氏が初めて語ったとされる。そうした意味では今回のアベノミクス解散の結果がどうなるかは今の段階では闇の中と言うべきなのかもしれない。しかし、頭の体操ぐらいは許してもらえるだろう。
 安倍首相は先月(11月)18日に衆議院を解散することを表明して「与党で過半数を取れなければ辞任する」と述べた。衆議院の定数は475議席である。過半数とは238議席を意味する。ここで先ず、頭の体操に前提をおいてみる。
 第一に、与党 公明党の現有議席31は、その組織力から見て変化はないとする。自民党は公明党という下駄を履いて立っている。もう一つの前提として、自民党の一年生議員いわゆるアベチルドレンとされる120人からかなりの数の落選者が出るとする。小泉、小沢チルドレンも二回目の選挙でかなりが落選した。
 さて、過半数238議席とは何を意味するか。自民党は今の議席295から88議席減らして208議席へと"転落"する。そして、頭の体操の一つとして自民党の88議席をそっくり民主党が取り戻したとすると民主党は143議席へと"大躍進"する。だが、ここで自民党は下駄を履いて現れ与党238議席の巨大な壁が依然として、野党の前に立ちはだかる。そこで、"奇跡"としてアベチルドレン120人全員が落選し、その受け皿に民主党がなったとする。なんと自民党と民主党 はいずれも175議席と対等に並ぶ。だが、全野党連合という"奇跡"でも起これば別だが、ここでも矢張り"下駄効果"が効いて自公政権は206議席と安泰である。
 安倍首相の脳裏に"解散"という火が最初に灯ったのは今年の「4月-6月」のGDPデータが公表された8月13日だったかもしれない。4月の消費税率引き上げの影響は小さいというマスコミやエコノミストの予想が外れ想定外の大幅な落ち込みとなった。