▶ 2015年2月号 目次
民主党よ"挙党体制"で存在感示せ!
柴田守
「苦節10年」民主党が2012年12月の総選挙を受けて下野して以降、私が民主党議員(特に若手)に会うたびに言いつずけたフレーズです。「苦節10年」とは、戦前の最大野党 立憲政友会に挑んでこれを倒した民政党の加藤高明がわずか2年で下野し、その後、ほぼ10年をかけて再度政権に返り咲いた時、国会で使われたものです。
私は民主党が再起を期して走り出す激励のつもりで使ったのですが、残念ながら議員たちの反応は鈍く、野党第一党でありながら次の機会を狙うという意欲が感じられませんでした。結果的に2年間、内向きの指導権争いと不毛な野党再編論議に終始し、スキをつかれて解散に至りました。
2014年12月の総選挙で民主党は党勢をやや挽回したものの海江田代表が議席を失うという敗北を喫することになり、ようやく目覚めたかのように、党員・サポーターを含めた投票による代表戦を行いました。
そして、新しく代表に就任した岡田氏は、共に戦った細野、長妻に加え枝野、蓮舫の各氏を役員に任命して「"挙党体制"で民主党の原点に帰る」と宣言しました。再生を目指してようやくスタートラインについたところです。未だ党内には野党再編論議がくすぶり続けてはいますが、今は、何より安倍「一強」にはっきりとした対立軸を打ち出して、党の存在感を国民に示す時です。
安倍政権に対する国民の不平・不満は「集団的自衛権の容認」「特定秘密保護法」「社会的格差の拡大」「国会議員の定数削減」など多くの疑問に政治がまともに答えていないことにあります。さらにその先には「戦後レジームからの脱却」という安倍首相の本音が、改憲も視野に突きつけられる状況にあります。このような中で、民主党は、常識的でリベラルな中道の受け皿を作り上げることが早急に求められています。民主党は野党第一党としての責任が問われています。
柴田守 (元連合副会長)