▶ 2015年4月号 目次

私から見た地震予知

小林 裕


「地震予知は可能か不可能か」このようなタイトルを掲げたテレビ番組が最近よく放送されている。しかし、このタイトルはもはや時代遅れである。地震予知は既に行われており、今は地震が予報されたときに如何なる対応をとるかを検討すべき時なのである。
私は、大変残念で悔しい一通のメールを今も保存している。四年前の2011年三月十一日午後二時三十八分、あの東日本大震災の八分前に電気通信大学の早川正士名誉教授から私あてに発信されたもので、「通常は太平洋上の電波経路のためほとんど見ていないパスを見たところ、明瞭な地震前兆が三月五日、六日に出ていました」という海底での大きな地震発生を警告する内容であった。そして、直後に私は仙台の自宅であの東日本大震災のとんでもない揺れを体験したのだ。
去年の十一月、衆議院第一議員会館で日本地震予知学会が旗揚げされ七十人余りの科学者や支持者が参加した。この学会の会長が電気通信大学名誉教授の早川正士氏で、この二十年間折に触れ私が地震予知について教えを請うている方である。早川先生は大学を退官後、地震解析ラボという会社を立ち上げ地震予測情報の配信を始められた。早川先生の専門は電磁気学で、地震学が専門ではない。ここが大きなポイントである。専門外の学者が地震の前兆をとらえ、地震予報を出すことは地震学者にとっては許しがたいことである。そして、その気持ちが高じてか地震予知を非科学的であるとまで述べる学者もいる。しかし、国にも予知と名の付いた組織がある。国土地理院に地震予知連絡会があるが、この会からは我々の日々の生活に使えるような予知情報は出てこない。
早川先生の地震予報は一週間前に公表され、予報期間は一週間である。これならば予報が出た一週間だけ注意すればよいわけで、実生活において多様な活用ができる。私はマグニチュード5以上の予報が出た時、まず自家用車のガソリンを満タンにし、ボトルの水と食料を多少多めに購入している。では予報の精度を次に示してみよう。
今年の2月17日午前八時六分、三陸沖を震源とするマグニチュード6.9の地震が発生し岩手県久慈市では二十センチの津波を観測した。この地震の予報は五日前の二月十二日の地震予報で周知されていた。ここ数年の予報を厳しく精査すると、予報の的中率は約70%である。