▶ 2015年9月号 目次

TVへの繰り言 ~NHK放送文化研究所の調査から~

七尾隆太


 テレビ視聴の「短時間化」が進んでいることが、NHK放送文化研究所の調査で分かった。インターネットの普及などメディア環境の変化によるようだが、テレビ側にも要因の一端はあるのではないか。まじめな視聴者ではない、老年の繰り言かも知れないが、気になることがあまりに多過ぎる。
 放送文研が7月にまとめた「日本人とテレビ」調査結果によると、1日に「短時間」(30分~2時間)」見る人が38%で、5年前に比べて3ポイント増えた。「ほとんど、まったく見ない」人の割合も6%で2ポイント増えた。「短時間化」したのは1985年の調査開始以来初めてという。
 テレビを見ていて気になる一つは、各局アナウンサーのニュース読みの劣化だ。ニュースを最初から最後まで、とちらずにきちんと読めるアナは意外と少ない。かまず(業界用語らしい)にスムーズに読んでも内容がしっかり伝わるわけでもないが、まずは正確に読むことはプロの第1の仕事だろう。NHKの森田美由紀アナに、定時ニュースに戻ってほしい。言い間違いも目立つ。「落石が落ちました」(NHK)、「択捉島に訪問しました」(TBS)。創業家を「そうぎょうか」、米国の上下両院「じょうげりょういん」、他人事を「たにんごと」と読むのも耳にした。大地震を「だいじしん」と読むアナもいる。大震災(だいしんさい)、大地震(おおじしん)が放送の決めごとだろう。
 言葉が時代によって変化するのは止められない。しかし、せめて放送ではちゃんとしたに国語を使ってほしい。