▶ 2016年3月号 目次

<シネマ・エッセー> アイリス・アプフェル! 94歳のニューヨーカー

磯貝 喜兵衛


トルーマン・カポーティ原作のニューヨークを舞台にした映画「ティファニーで朝食を」のオードリー・ヘプバーンは、大きなサングラスに最先端のファッショナブルな衣装をまとって、実に魅力的だった。その原型を類推させるような印象を与えるのが、このドキュメンタリー映画の主人公、アイリス・アプフェルである。

1921年8月、ニューヨーク州生まれのアイリスは、50年代からインテリア・デザイナーとして活躍。夫カールと設立したテキスタイル会社が成功し、歴代大統領からホワイトハウスの装飾を任され、アメリカのファッション界で注目され続けて来たという。

映画は2005年にメトロポリタン美術館で開催された彼女のファッション・コレクションの展覧会が記録的な観客動員で評判になったシーンをはじめ、今なおアメリカのファッション業界やインテリア・デザインで現役として活躍を続ける姿を多彩に追い続ける。

思い切った色とデザインの装飾品や、彼女が選ぶユニークな色と柄のファッションとの取り合わせは、我々男性の素人目にも、「先端的でありながら、似合ってるな」と感心した。

そして、愛用の大きなメガネとの取り合わせも千変万化して面白い。どこかで見たと思ったら、人気アニメ「シンプソンズ」のキャラクターにもなっている。