▶ 2017年4月号 目次

大阪万博の誘致、カジノ計画と同時進行

七尾 隆太


 東京五輪・パラリンピック開催の5年後の2025年、大阪で再び国際博覧会(万博)が開かれるかも知れない。大阪府の誘致に呼応して政府は積極的に支援する方針で、3月に開催概要も公表された。これから本格的な誘致活動が始まるが、大阪府と大阪市はカジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致も目指しており、万博招致とIR誘致が一体となって進むことになる。地元大阪のメディアは逐一、詳しく報道しているが、首都圏ではそうでもないようだ。そこで、主要新聞各紙の報道などをもとに現状報告しよう。言ってみれば活字版「キュレーションサイト」。

 「2025大阪万博」のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」、サブテーマが「いのち輝く未来社会のデザイン」。経産省の有識者による検討会で開催概要がまとまった。報告書案によると、開催期間は25年5月3日から11月3日まで。会場は大阪市湾岸部の人工島「夢洲(ゆめしま」の100㌶。入場者数は2800万~3千万人を想定し、会場建設費は1250億円。全国への経済波及効果1・9兆円を見込む。人工知能(AI)、ロボット、ドローン、仮想現実(VR)などの最先端技術が活躍することになりそうだ。
 大阪万博誘致の発案者は、松井一郎・大阪府知事(日本維新の会代表)。「25年大阪万博は、東京五輪が終わった後の大阪、日本が成長する起爆剤になる」とインタビューで語っている(16年11月25日付読売)。大阪府がまとめた基本構想案では、テーマは「人類の健康・長寿への挑戦」だった。関西の集積している医療分野の研究機関、企業を念頭にライフサイエンスを軸に据えようとした。だが、経産省の検討会では、若者や新興国の賛同が得にくいとの声が出されて変更になった。
 会場予定地の夢洲(北港南地区)は、咲洲(さきしま、南港地区)、舞洲(まいしま、北港北地区)とともに大阪湾岸開発のため順次埋め立てられてきた人工島の一つ。