▶ 2017年9月号 目次

ミニゼミ報告「キュレーションサイト取材記」

佐藤 瑞季


 2017年7月5日、今年度第2回ミニゼミが、13名の学生と教授・助教授 それに6名のジャーナリストが参加して、慶應義塾大学三田キャンパスで開かれた。  大きなテーマは、ネット社会とフェイクニュース。足掛かりとしてDeNA問題などで話題となったキュレーションサイトの現場について学生自身が取材をして、報告することから始まった。取材の対象は、アルバイトの学生ライター10名。レジャー系、恋愛系、キャリア系、ファッション系、旅行系、くらし系、医療系などジャンルの異なるキュレーションサイトごとの給与形態やノルマ、記事のチェックの有無などと聞いた。報告によれば、態様はサイトにより異なり、一括りにキュレーションサイトとしてまとめるのは難しいのが実感だったが、記事の正確さに留意している現場は少なく、営業的な要請から「どれだけ見られるか」のView数が重視されがちであることは共通して感じられた。つまり、閲覧数により収入を得ているため、それを重んじる風潮から記事の多さ、面白さ、SEO(検索エンジン最適化)を重視し、その質へのこだわることがないのだ。つまり、従来の取材を通じた情報の正確性、質を重んじるメディアとは異なる。
 取材報告の質疑ではまず、OB・OGからは初めて本格的に取材をした点を評価しながらも、取材対象が手近な学生アルバイトに限られ、もっと学生であることの利点を生かして簡単にアポイントをとれないような相手に、積極的に突撃していく精神が必要なのでは、との指摘があった。