▶ 2017年10月号 目次

「政治家の不倫」黙認できる寛容さがほしい

木村 良一


 「幹事長内定の夜、彼女は都内の高級ホテルに密かにチェックインした。部屋で落ち合ったのは、赤ワインとビールを手にした妻子ある弁護士」
 週刊文春(9月14日号)トップ記事のリードだ。彼女とは元民進党政調会長の山尾志桜里氏、43歳である。東大法学部卒の元検察官で、小沢ガールズの1人として政界入りし、待機児童問題で安倍政権を追及してその名を上げたことで知られる。
 山尾氏はこの文春の記事で民進党を離党した。山尾氏をかばうつもりもないし、不倫を勧めるわけでもないが、あえて言いたい。政治家だって人間だ。色恋の1つや2つあっても不思議じゃない。政治家としての勤めを果たしていれば問題ないのではないか。
 それにしても今井絵理子氏、宮崎謙介氏、中川俊直氏と週刊誌による政治家の不倫暴露がやたらと目につく。政治家は不倫してはいけないのだろうか。今回は「政治家と不倫」につい考えてみた。
 山尾氏の問題は9月9日付の産経新聞と東京新聞の社説でも取り上げられた。いまや、政治家の不倫は新聞の社説で論じられるほど重大問題なのである。
 産経新聞の社説(主張)は「党勢立て直しの目玉にしようとしていた幹事長人事が挫折した。しかもその理由が男女関係をめぐるスキャンダルというのは、何とも緊張感に欠ける話である」と民進党自体を批判する。
 さらに「その山尾志桜里元政調会長は、既婚男性との交際疑惑について否定はするが、まともな説明ができないまま、離党に追い込まれた」と書いた後、前原誠司新代表に矛先を向ける。
 一方、東京新聞の社説は「国会質問では、保育園に子どもを預けられない母親の窮状を訴えた『保育園落ちた日本死ね』という匿名ブログを取り上げて安倍晋三首相を追及。政府が待機児童問題の深刻さを認識し、対策に本腰を入れるきっかけとなった」と山尾氏に政治活動に言及する。
 その後「個人的な問題と政治活動は別だとの声がないわけではない」と書きながらも「そもそも誤解を生じさせるような行動を、民進党の再生を期すべき重要な時期にしていたことは軽率の極みである」と山尾氏の行いを批判する。